私は売場に移動だけは嫌だったから、掛が嫌でも移動願いなんて出せなかった、あの頃は。だいたいがあそこに入社した時は確かに売り子を覚悟して入ったわけだけど、最初の接客模擬で「これはやっていけないかも」と思って、辞めようかなと思ったくらいだったし。それが経理に配属になって、それなら続けてみようかなと思ったんだけど、後のコンピュータ係の仕事だけは好きになれて、これならお金もらわなくても仕事としてやっていきたいなあとまで思ったわけで。けれど、そういった部署がずっと続くわけもなく。時が経つにつれて仕事が統一化されていき、コンピュータ使っての仕事も減っていき、人員も減らされて、売場に出なくてはならなくなりそうになって、私はやっと辞めることができた。 たぶん、私という人間は勉強がもっとできれば本当は学者といった職種が一番性に合ってるんだろう。社会性はゼロだけど、好きなことに対して一途に打ち込むタイプだから。ただ、学者になれるほどの頭は私にはなかった。それはもうしょうがない。私はただの頭の悪いワガママな女だったってだけ。 | ||