錬司から預かった手紙。それを渡された時「読んじゃうよ」と自分で処分すればと言ったのだけど、別にいいよと言われ処分を頼まれた。なんで彼は私に手紙処分を頼んだのか。それはわからない。その手紙は、彼を好きだった女の子の彼にあてた手紙の束だった。何通もあって、それを読んでしまった私は、彼女の気持ちに同調してしまって読んでは泣きはらした。まるで、自分がシンゾウ君に対して抱いていた気持ちと同じで。 錬司は、どうしても女として見ることができなかったと言う。手紙の内容は本当に純粋で、こんな子を好きになれない男って…と微かな憤りまで感じるくらいだったのだけど、でも、彼女が錬司のタイプじゃなかったからこそ、私は彼とそういう仲になれたわけだから、運命ってほんとわからないものだよなあと思った。私のほうこそ、シンゾウ君がどうしても私を友達以上に見れなかったことで、私の気持ちは彼には届かなかったからこそ、錬司と結婚することにまでもなったわけだし。 ただ、そんな手紙を私に見られても平気なくせして、とある歌が好きな理由をどうしても教えてくれなかった。その歌には何か特別な思い出があるようなんだけど。これは想像なんだけど、その手紙をくれていた女の子との間にその歌にまつわる何かがあったか、あるいは、その歌の内容がその子の気持ちにピッタリで、それでその子のことを思い出してしまうからなんじゃないかって。嫌っていたわけじゃない、ただ女として愛せなかったというその子のことを切なく思い出しちゃうんじゃないかなあ。私が様々な歌で過去に好きだった人を思い出すのと同じで。そう思うと……やっぱり気になって、その歌の秘密を知りたくなる。なんつー傲慢な女なんだ、私って。(笑) | ||