１０月１２日水曜日雨
アライ君はあの告白話を覚えているだろうか。
やっぱり未練は残ってるんだよね。
だって、好きになったんだもの。
私には錬司か彼かなんて決められない。本当のところ。
ただ、彼は私が好きになった人で、錬司は好きにさせられた人っていう違いだけかな。
それと、彼のこと考えるとドキドキするけど、錬司のこと考えると頑張らなくちゃって気持ちになる。
だから、両方ほしい、と思うのは、やっぱりぜーたくなんだろうな。
でも、アライ君もほんとは本気になりかけたんだぞー。
だって、すごくやさしいんだもん。
そりゃね、錬司だってやさしいよ。
でも、やっぱり私ってぜーたくなんだ。
でも、私だけじゃないと思うよ。
錬司だって、あんがい、私みたく他にも心ときめかしてる子がいるかもしんない。
いないはずないと思うけど…。
自分のそういった気持ちっていうものは止められない。罪悪感はあっても、心はコントロールなんてできないと思うから。けれど、それはわかってても、相手の気持ちを相手自身にコントロールしてもらいたいという気持ちをどうしても持ってしまう。だから、自分のことを棚に上げて、相手に願ってしまうのだ。「私だけ」にして、と。他の誰に対しても「いいなあ」という気持ちを持ってほしくないと。それは間違った願いだとわかっててもどうしてもそう願ってしまう。自分がそうできないのに相手に願えるはずがないのに。こんな時、自分で自分を呪ってしまう。私はなんてサイテーな人間だって。そう、私は最低な人間なんだよ。
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