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Little Eden



10月22日水曜日くもり

言っちゃった。
ヒットスタジオに出てたから、思わず「私とどっちがいい?」と。
錬司ったら悩んじゃって、出た答えが「比べられない」
正直なんだよね。
「おまえがいいよ」って言うこともできるのに。
でも、それもひとつの手ってこともありうると思ってしまう私は怖いと思う。
結局、信じてないのかな。
だって、わかんないじゃない。
自分の気持ちでさえわかんないのに、相手がどう思ってるか、なんて。
とくに錬司なんか、商売がら口がうまくなきゃいけないって、日頃言ってる人だし。
ああ、今頃、車の中で何を考えているのだろう。
そう、話してみてわかったことだけど、あの子、どこをとっても、ひとつも私に似てるとこがないの。
だからかもしれない。
これがもし、ひろ子や明菜だったら、ちょっとは私に似てるとこがあるから、安心したかもしれないけど。
あれ、だったら、ちょっと待てよ。
錬司だって、ボウイやニモイや務みたいじゃない。
ちっとも似てないぞ。
て、ことは、錬司だって、私の今のこの気持ちと同じ気持ちを他の男に持ってるかもしれないね。
ほんとはそうなってほしくないけど、もし、あの子みたいな子が錬司を好きになった時、錬司がその子に心変わりをするってーのを、ほらやっぱり、と確かめたい気持ちもある。
うーん。やっぱし私ってマゾだな、ここまでくれば。
ほんと、どーなるんだろう、私と錬司って。
恋愛してるから、よけいに気になっちゃう。

知世ちゃんのことは今では夫婦ともに「いつまでもかわいいよねえ」と同じ気持ちを共有できるようになった。結婚して20年以上も過ぎれば、互いの信頼関係は堅固なものになるし、私は錬司にいつまでも愛してもらえるよう、私なりに努力しているつもり。もちろん、無理のない程度に。私は家事が好きじゃないから、料理で錬司をつなぎとめることは放棄したんだけど、これも、錬司が「それなら自分で作る」と率先して作ってくれるような人だったからうまくいっているわけで。だから、私は別のことで彼の気を引き留めることに専念したんだよね。私たちはうまい具合に似合いの二人だったんだってこと。






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