５月２日金曜日くもり

あたしってさあ、やっぱり欲張りなんだね。
でも、皆そうだと思うんだけどね。
あたしばっかしじゃないと思うんだ。
博愛じゃなくて、ほんとにみんな大好きなんだもの。
人を好きになるのって、別に何人でもかまわないと思うの。
でも、一度に何人もかけもちづきあいはやっぱりダメだと思う。
思う気持ちは仕方ないけど、実際やっぱしつきあう人は１人じゃなきゃ、相手を馬鹿にしてるんだものね。
つきあうってことは、一種のけじめみたいなもの。
こういう考えは錬司は持たないのかなあ。
だいたいこういう考え方って、女より男の方が強いと思うけど。
ほら、よく言うじゃない、男は愛してない女でも抱けるって。
錬司はほんとにちがうのかなあ。
誘惑されるってことはないのかなあ。
ほんとはね、そんなことまで首を突っ込むもんじゃないけどね。
でも、私の悪いとこ、気になってしまうのよね、そういうのって。
相手の心理が理解できないとき、ほんと気になってしまう。
うーん、つまり、たとえばよ、えんぎでもないけど、もし、錬司と別れるようなことがあって、あの人たちの誰かがなぐさめてくれたら、それが誰であろうとつきあっちゃうだろうってこと。
錬司とつきあうようになって、私は男の人がほんと怖くなくなっちゃったんだもん。
男の人ってほんと、女の子にはやさしいんだもん。
あのＡ君が一番いい例だわよね。
人間づきあいってむつかしい！
とくに同性とはね。
こんなんじゃまだまだ私って半人前だわ。
同性とのつきあいをうまくしなくちゃね。
男の人の中にばかりいたら、あたしってさ、成長しないよ。
甘えんぼのまんま。
男の人は、たいていのわがまま聞いてくれるから。
でも、誰にでもわがまま言っちゃダメなんだよね。
わがままはほんとは一人の人じゃないとね。
今の一番の願いは、錬司が米子店の勤務になればいいなってこと。
無理だろうけど。
米子店の主任さんっていう肩書なんかにもしなったら、すぐにでも結婚するのに。
米子でなくてもいい、安来でも松江でもいいから、近くにいてほしいよ。
夜、遊びに出たいよお。
錬司がいないと、みんなも出にくいみたいだもん。
みんなで「錬司は偉大だあ」って言ってるのに。