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Little Eden



11月14日土曜日晴れ

球技大会の日は、シンゾウ君、病院にいたんだって。エイザワ君が骨を折ってそのつきそいで。
あとで教室に来たユウ君の話によると、ボールを投げた拍子に折ったんだって。

マナミとカワノ君のことをミワが心配してた。いつになく彼女が真面目な顔で話があるなんて言うから、とまどってしまった。こら、マナミ!いつも私にシンゾウ君を動揺させるようなことはよせと言うくせに、君はカワノ君を動揺させとるぞ!もうなんとも思ってないからといっても、つんつんするのはよくない。
今日、水飲場で無視したのは、いけないことだったと思う。いいチャンスだから、このあいだの誤解を解くべきだったと思うけど。
うー難しいなあ、男女間のことは。ヒサミは、やはり昨日トッペさんと一緒にいたことをユーシンに責められたらしい。しかし、ユーシンも独占欲の強い男だなあ。ヒサミもヒサミで我の強い女だから。
様々なカップルがおりますわ。私としては、それらの傍観者だから、見ていて楽しいが。
本人たちにとっては、つきぬ悩みですなあ。
Tomyが古文の源氏物語で”女の嫉妬は醜い”と習ったそうだが、どうやらユーシンの嫉妬は醜いとはいわないけど、恐ろしいみたい。もう少し前までは冗談にしろ(おそらくヒサミへの皮肉やあてつけからだろうが)いつも私に「シンゾウなんかやめて俺にしろ」と言っていたが、およそ、どうしても私は彼を異性としては好きになれなかった。いい人で、かわいいところもある、とは思ってたし、一時は本気で好きなのかなとは思いかけたこともあったけど、たぶんどこか彼についていけないところがあったんだろう。
誰々には誰々がお似合い、なんて人には言う権利はないけど、私の考えとしては、ユーシンにはヒサミが一番合ってると思う。二人が結婚でもしたら、さぞかしおもしろい家庭ができるだろうに。

シンゾウ君が電話してる時、私はそばで3年2組の名簿を見てたら、ちょうど私の下にイナオ君のがあって、見てみたらやっぱり私と同じ7月9日生まれだった。そして、カワノ君の名前は”みつぐ”とわかった。
2年の時、教えてくれなかったものね、彼。フナモト先生が”みつじ””みつじ”って言うから、そうだとばかり思ってしまってた。そのわりには、私のこと”テンコ”って言わないな。”テンコ”って呼ぶのは、クロダ先生とホッタ君とムラシだけだ。

マナミが、シンゾウ君と歩いていた私を見て”シンゾウの金魚のフン”と私を呼んだ。
えーえーどうせわたしゃ”金魚のフン”ですよ。”金魚の女房”にはなれませんよ。フン!

みんなバラバラになったよなあ。カワノ君は婿養子になったと噂に聞いたし。シンゾウ君はどんな人と結婚したんだろう。ヒサミは結局、別の人と結婚したけど、その結婚相手も同級生だった。私もそうだし。マナミはどんな人と結婚したのかなあ。私も努力と根性でシンゾウ君の女房になれたかもしれないとは思う。後に友達としてしか見れなかったという言葉も聞いたけど、ずっと一緒に過ごしていたら気持ちも変わったかもしれないし、そういう可能性だってなかったわけじゃないと思うし。ただ、私はどこまでも彼についていく根性はなかった。ほんと金魚のフンだよなあ。フンはいつか捨てられる。それを思うと、当時マナミが私を金魚のフンだと言ったことも、予感がしたのかもしれないね。






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