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Little Eden



10月7日水曜日曇り

あの人がTomyに「Kさん勉強しとーかや」と話しかけてきたと彼女から聞いた時に私は悲しい気持ちになった。そして、そんな気持ちになる私を軽蔑した。
今はそんな気持ちを持っている場合じゃないっていうことはわかっているけれど、どうしようもない。
彼と私の進路は違うのだから仕方ないと思わなくては、と思うのに。

私は自分が全てのことに甘えていると思う。実際甘えている。
シンゾウ君のことを見守る見守るなんてきれい事を言ってるけど、自分のこともちゃんと出来ないのに、そんなこと言う資格もなければする資格もない。ますます彼に迷惑をかけるだけだ。
ああ、だから、早く時が過ぎてくれたほうがいいのだろうか。
何もかもわからなくなってしまった。でも、私はシンゾウ君を愛しいと、それだけは確信を持って言える。
マナミの言うように確かに幸せな子なんだろう、私は。だけどね、マナミ、その人自身の幸せなんて他の人には決められないものだと思う。他の人からは幸せに見えても、その人自身は幸せじゃないのかもしれないんだよ。だから、むやみやたらと「あなたって幸せね」とは言わないほうがいいと思う。
実際、私は自分が幸せなのかどうかわかってないんだもの。

イナオ君は割りとそうじゃないんだけど、カワノ君はあんまり見ることできない。だって、彼に目をやると、必ずといっていいほど目が合ってしまうんだもの。私がもう後の席に行かなくなったから、人を見ることが少なくなって、それもある。クラスメイトの顔だってまともに見てない。(男子)
後に行けばいろんな人のこと見れるのに、今の席から離れたくないから。
補習の英語が終わって5組の掃除してたら、カワノ君が通る。思い切って「もう帰るの」と言ったら「うん」と答えたので「ByBy」と言ったら「By」と答えた。
「まだ帰ってなかったの」と言うべきだったんだろうけど、まあいいや。
本当に気になる人だ、カワノ君って。

とにかく今は祈るしかない。シンゾウ君が無事大学に合格するのを。今の私にはそれしかできない。そしてTomyやアベちゃんが彼に話しかけるのを手をこまねいて見てるしかない。

でも、何もいらないからシンゾウ君がほしい。

トミーは彼と同じ文理クラスだった。どこを最終的に狙っていたのか知らないんだけど、結局は文系クラスの私が入学した短大に入ったわけだ。たぶん、私たちが入った短大は第一志望ではなかったんじゃないかな。そうじゃなきゃなんで文理クラスに入ったのかわからないもの。あと、彼女は塾にも行ってた。

私は彼女のことは好きだったし、今でも好きだ。いろいろ彼女には嫌なことを言ってしまった過去もあって負い目はあれど、当時の日記をこんなふうに読んでみると、けっこう彼女も私に対して嫌なこと言ってきてたんだなあと思う。私が彼のことを好きだと知っていて、自分と彼の会話を聞かせてきては仲良くしているんだというのをまるで見せびらかすようなことをしていたみたいだし。当時の私は、それをいい方に捉えて、彼女は私が彼のどんなことでも聞きたいのだと思って親切でそう報告してくれてるんだろうって思い込んでたんだけど。でも、彼女は私に対して「彼はあなたのものじゃないよね」と言ってきたこともあったよなあ。その意味は彼女が彼を好きだったんだという意味にも取れるんだけど、でもどうなのかな、だって私は彼女が当時好きな人を知ってたしねえ。

私は文理クラスに入ったら絶対に落第の恐怖に怯えないといけないってことわかってたから数学とは縁を切ったんだよね。ほんとはシンゾウ君と同じクラスになりたかった。高校最後のクラスであれば、もしかしたらクラス会とかあった場合にいつかまた会えることもあるからなあとも思ったんだけどね。まあ、それは当時はそこまで考えなかったんだけど。でも、たぶんそれを知っても、当時の私は落第のほうが怖かった。まあおかげで3年の時は勉強で辛い思いはしなかったんだけどね。






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