９月１７日木曜日晴れ

昨日はシンゾウ君に出会わないよう逃げてばかりだった。でも私は”逃げていては愛は実らない”という言葉を信じて、我ながら単純だと思いながら彼と話を交わした。
むこうはやはり少し戸惑いともためらいともつかぬ態度だった。だけど、本当に１５日のことをもうすっかり忘れたような、あんなことなかったような態度でいつも通りに振る舞ってよかったのだろうか。ちょっと無神経だったんじゃなかろうか、私の態度は。
１５日のことは誰にも絶対喋らぬようにしなくては。マナミにさえも。とにかくせめて来年、全てのことが片付いてからのことだと思う。
だけど、もう私は二度とシンゾウ君に１５日に言ったセリフはもう言わない。彼自身が返事を言う気になるまで私はずっと待つつもりだ。この気持ちが本当に変わらなければ嬉しいんだけど。

カワノ君は市役所の役人になるつもりらしい。今日は昼からは米子の市役所に出掛けるために帰っていった。なれればいいのにね。卒業してからも会えればいいな。
”さよなら”をもう一度聞きたい。
イナオ君が今日はお休みだったよ。どうしたんだろうね。あっそうそう、彼って彼女がいるんだってね。それも２年生の。知らなかった。初耳だよ。でも今気のりしなくて別れようかとも思ってるんだって。ああ、青春真っ只中って感じ。

私は今までと変わらないつきあいをしていこうと思っている。シンゾウ君の勉強の邪魔にならない程度の。
彼はもしかしたら私のことをうとましく感じているのかもしれない。が、そうなのかを知ることはできない。そうじゃないことを信じて私は彼に話しかけようと思う。
ずっと前にも書いたように異性同士というより前に、良い友人同士でいたいから。
時々交わす会話が、彼の受験に対する緊張した精神を解きほぐせるのなら、どんなにいいだろう。そうだと信じて私は話しかけよう。気の合った友人同士のように。
今の私と彼は恋愛感情以前の仲であるのが一番いいのかしもれない。
１日ずっと考えて私はそう思った。４、５ケ月なんてあっという間に過ぎる。今は時期を待つしかない。彼も時期が悪いって言ってたもの。もしも浪人をすることがあれば、１年は待たなくちゃならない。だからどうか成功してほしい。
神様、あの人をどうかストレートで大学に合格させてやって下さい。
私、あの人のお嫁さんになりたいんです！（きゃあ、言っちゃった）