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Little Eden



5月30日土曜日晴れ

後悔ばかりが私の頭に浮かぶ。私はもうシンゾウ君と心ゆくまで話ができなくなってしまった。
その理由は例の”病気”であり、あのどうしようもない気持ち悪い胸焼けである。
彼と話したい気持ちは十分あるし、彼が嫌いになったわけでない。
私の診断では、私の思いつめる気持ち、気にしすぎる気持ちが精神的圧迫となり、それが結果的に身体にきて”吐き気”となる。(神経性胃炎なんです)
これを聞いたヒサミちゃんたちは、思いつめたり、気にしすぎなければいいと言う。
だけど、こればっかりは私の心の自由にはならない。
さりげなく彼と話をしようと思っても、いつのまにか思いつめたうえに話をしてしまって”吐き気”が起きる。
かと言って、これから先、彼を無視するわけにはいかない。そんなことをするのは身勝手なことだ。
なんだか近頃の私には優しい人よりも強引で身勝手で恐い人のほうが似合ってるのかもしれない。でも好きになった人はいつも照れ屋で優しい人ばかり。
もう嫌だ。確かに、世の中はうまくいかない。でも私だってわがままを言いたい。

今日は12:55の汽車に乗り、米子に向かった。米子楽器店で楽譜を買い、やよいでレコードを買い、いざ公会堂へ。シンゾウ君がなんとりりしかったことか。彼は私の言葉に忠実に従って制服で出ていた。上着は脱いでたけど。本当に彼にはまばゆいばかりの白が似合う。私はどうしようもない私の”性質”のために、シンゾウ君の本当の彼女にはなれない。
”性質”は変えようがない。だから、ヒサミちゃんやコガちゃん、果てはマナミを羨ましく思う。彼女らにも悩みはあるだろうが、自分の自己をしっかりと掴んでいるから、私のような女ではないから。私は私であることが恐い、そして辛い。
自分の”性質”の影に怯えて暮らすのはもうたくさんだ。
とにかく、今、切実に願うのは、ほかのものはなにもいらない。シンゾウ君と話ができるようになりたい、例の”病気”を不安がることなく。

この気持ちは誰にもわからないだろう。私は嫌な人間だ。

どうだろう。この吐き気は後に手術することになった胆のうの病気のせいだと思っていたのだけど、それだけじゃなかったかもししれない。ホルモンバランスの異常。そういったものも関係していたかもしれないな。最近の私の不調は更年期からくるもので、それってやっぱりホルモンバランスのせいでもある。高校の後半あたりから毎月のものがとくにひどく不順になっていったこともあって、それらも関係あったのかもしれないな。ホルモンバランスって、それほどひどい場合じゃなければ、気分次第で吐き気とかもよくなったりするからなあ。高校の頃の吐き気も、緊張したりすると起きて、緊張がなくなるとおさまってたから。

シンゾウ君とのことがもっと早い段階で仲良くなっていたらなあとは思う。そうすればもうちょっといっぱい話をして思い出つくりができたかもしれないのに。でもまあ、これもタイミングとかの問題でもあるししょうがない。それにしても、今でも目に浮かぶ。彼の制服姿。白いカッターシャツはとくに彼の男っぷりを上げてたよなあ。






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