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Little Eden



5月14日木曜日晴れ

静かな幸せが、いつか見た夜霧のように私を包んでいる。
だけど、私の心はフワフワしている。しっかり、あの人に掴んでいてもらいたい。
この気持ちは恋ではない。ただ、彼(さて、いったいだーれでしょー)がいつもと違って見えただけ。
ただの憧れ。私にはシンゾウ君がいる。

あなたは窓辺にもたれてトランペットを吹いていた。私はピアノも弾かず、ピアノ室からあなただけをみつめていた。あなたは私が話しに来ると思ってたんでしょうね。
だけど私はみつめてただけ。
あとで、展覧会の絵のプロムナードを弾いていたら、あなたが突然入って来た。
私は嬉しかったのよ。あなたから私のもとに来てくれるなんてないって思ってたから。
私はね、シンゾウ君が大好き。シンゾウ君はシンゾウ君だから大好き。
他の誰でもないシンゾウ君が大好き。
なんだか今日の私はいつもと違ってるなぁ。ちょっと切ない。なんでだろう。

見直してしまった。あの先生、視聴覚のトモマツ先生。トランペットが吹けるんだって。
今日、音楽室に来て、シンゾウ君にコルネットを出してもらって吹いてくれた。
ヘェなかなかいい音なんだな。嘘みたい。

きょうはレッスンの日なのよね。
事故がなければいいのになぁ。
また明日も元気な姿を見せて下さいませ。
やっぱりシンゾウ君もTV見てるんだな。
あの「魔界転生」のCMのセリフまで覚えてるなんて!

展覧会の絵のプロムナード、あの頃は弾けたんだった。それを弾いてるのを聞きつけて、彼はやってきたわけで。その時に彼が何を言ってたかは覚えていない。ただ、突然、彼がピアノ室に入って来たことだけは覚えている。ホントに嬉しかった。やっぱり、音楽に関係すること、たとえば歌手でもよかった、そういう道を進んでいればと悔やまれる。






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