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Little Eden



4月28日火曜日快晴

今年もこの日がやって来たが、もう私はあの人のことは忘れようと思う。
ほじくりかえしたって何にもなりはしないもの。自分が惨めになるだけだ。
だけど、彼とのことを良い教訓にして、これからは同じ失敗を二度としないようにしなくては。

シンゾウ君は優しい。私の勝手な行動を責めることはしない。
私はなんだかすごい罪悪感を感じてしまう。
私はあの人の理性が崩れてほしいと願う時がある。そのことをあの人は夢にも思ってないだろう。
さて、昨日、私は二度も憎たらしいことをしてしまったのだ。
ひとつはあの人が他の男子と話してるのを横から割り込んで邪魔してしまったこと。
もうひとつも練習中を邪魔してしまった。
当然、嫌われた、と思った。
だから今日は、なるべくあの人と顔を合わせないようにしていた。
だって顔を合わせると、必ず話さなきゃという気持ちになってしまうんだもの。
さて、帰り道で、カワノ君たち一行が私の後ろでこうのたまった。
「シンゾウ、がいにはりきって写真写しとーなぁ」「あいつ、女の子の写真でも撮ってパネルにでもするんじゃないかぁ」などなど。
わかってる。彼らは私がいる時に限ってあの人の話をするのだ。
たまらなく嫌だった。
大橋を渡って自由行動になると、私はユーシン君のうしろにくっついて歩いていた。
そして、そのまたうしろをあの人が歩いていた。
私はうしろを振り向くことができず、ユーシン君とばかり話をしていた。
あの人はいったいどう思ったことだろう。なんとも不可思議に思ったことだろうに、私の行動を。そして、途中で違う道に行ってしまい、あーもうだめだこれは、と思った。
あとはもうやけくそ。フン!どうにでもなれ、と思い、学校に着くと3階の水飲場へ。顔を洗いはじめると、階段を急いで駆けあがってくる足音が。
すると、その人影がわたしの横に。そして、その人は、私と同じく水をじゃーじゃー出すのだ。私は見なくてもそれが誰であるかわかっていた。
だけど、彼はなかなか立ち去ってくれない。えい!ままよと思い、顔をあげ言った。「あっ!シンゾウ君だ!」(あーしらじらしい)
そのあとはもうおわかりのように一緒に音楽室に行き、talkingTime。
本当にあの人のほうから話しかけてくれない。だけど、あの人はいかにも話しかけろ!とでも言いたげな態度をいつも取るので、私はその度に話しかけずにはいられなくなる。不思議な人だ。きっと、昨日失敗したのはその”態度”の時じゃなかったからにちがいない。今、考えてみるとそうだった。
さて、ピアノを弾いてるとあの人はカメラを片手にやって来た。
正直言って、ああ、これはヤバイ!と思った。彼は私を撮るつもりなんだ、と。
案の定、私を撮ろうとした。しかし、私は結局は撮らせなかった。
あの人は何度も挑戦してきたが、許さなかったもんね。
冗談じゃない。ネガが残るなんて。考えただけでもゾッとする。
あの人は「がいに写真嫌いだなぁ」と言った。別に嫌いってわけじゃないけど、男の人、それも好きな人に撮られたことなんて一度もないし、それにいつも好きな人は私が撮るほうなんだもの。これじゃあ逆だわ。あの人が写真を、それも私の写真を撮ろうとしたので、カワノ君の言葉を思い出してしまった。
あの人はタダであげると言ったけど、ネガはあの人のところに残るわけだし、もしそれが全然かわいく写ってなかったら嫌だし、もう、女心をわかってないんだから、あの人は!
気になるのはミズグチ君とあの人の”ゼンチュウ先生のお部屋”での密話。音楽をかけてたけど、いったい何を話していたのやら。まるで私には聞かれたくないような、そんな感じだった。

本当にシンゾウ君って女心がわからないんだから。いったいどうしてあんな人を好きになっちゃったんだろう。

う〜本音を言うとヒサミちゃんがうらやましいなぁ。

それはしょうがない。私の好きなる人って、結局は私のことを好きになるような人たちばかりじゃなかったからなあ。私が相手を好きというよりも、相手が私を好きになってくれる人のことを好きになれていたら、ヒサミちゃんをうらやましく思うこともなかったんだけどねえ。まあ私の性格ではそれは無理だったか。






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