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Little Eden



4月7日火曜日快晴

今日は大安でした。境高の入学式だった。
まず昨日は初業式だった。私は3年2組になり、シンゾウ君は5組だった。
なんと、マナミは理数系の4組だった。これは意外だった。
さて、そしてその放課後、私は音楽室に行った。
そう、あの言葉を言うためだ。だけど、あの人の前に立って、いざ言おうとすると言葉がつまって何も言えなくなってしまった。急に黙りこくってしまった私をせかすことなどせずに、あの人は今日の用意をし始めた。結局、私は何も言えなかったのだ。
あとはいつものようにお話だけになってしまい、また帰りが遅くなり、怒られてしまった。
今度そのことを話したものかどうだろう。
ところがその夜、私はそんなことではいけないと思い、1時間かかって半紙に、言えなかった言葉を毛筆で書いた。今度こそ、私の気持ちを知ってもらうぞという意気込みで。
入学式が終わり、音楽室に行った。シンゾウ君はピアノを弾いていた。他の部員がたくさんいたけど決心して入っていった。あの人はあとで見てやると言った。そして、そのままそこにいついて話をした。他の部員たちはどう思ったろう。
そして、運命の11:50、私がピアノ室にいるとシンゾウ君が来た。
「例のもの見せてくれ」と言った。私はあの人の顔を見ることができず両手で顔を覆い、さかんに「笑わんで、笑わんで…」と言っていた。「なんだこれー」と言ったんで「笑わんでよー」とまたひと声吠えたら「笑わん、笑わん」とDokiっとするほどまじの声が返ってきた。だけど、あの人の顔を見てないから、ほんとにそうなのかわからない。
驚いたことには、そのあと何もなかったように合唱の話をしているのがなんとなく不思議だった。コールユーブンゲンのことがでてきて「合唱部も買えばいいのに」と言うから、つい「あるよ」と言って、しまったと思った。案の定、あの人は部室に入って行った。
部室には合唱部の落書きがしてある。そこにはよく見える場所に大きな字で”マフラーがんばって編みます”とか”わたしは○○○○君が好きなのですが”というふうにシンゾウ君が見たらすぐ私が書いたということがわかることが書いてあるのだ。
それもだけど、やっぱりあの人は本を持って私に初見で歌えという。
私はイヤだ、イヤだと言ったけど、今回ばかりはなぜかあの人はひきさがらない。
私が歌うまでじっと待っていた。じゃなくて脅すんだ。
結局、歌うしかなかった。

あの人は何も言わなかった。私が問いかけなかったからだ。
私はそれはあの人の意思だと思った。それに期待していたわけじゃないし。
とにかく、私は「私自身」から好きな人に自分の気持ちを伝えた。
どうしても言葉にすることができなかったけど、はっきりと伝えた。
あとシンゾウ君に任せるしかない。
だけど、これからも私はいつも通りにふるまうつもり。
そうじゃなきゃ私とシンゾウ君の仲も、今までの人たち同様、惨めな終わり方になってしまう。
私はシンゾウ君と過ごす時間がとても好きなのだから。

あーちょっと記憶違いをしていたな。春休みじゃなかったか、告白したのは。なるほど。それも別の日に告白したんだった。たぶん、彼はそういう目では私を見てなかったんだろうな。だから、自分も好きだとかそういうところまで気持ちはなかったんだろう、当時は。で、なるほど、いろいろプレゼントしてくれたりしたのは自分を好きだったからなのかと気づいたという段階。だから、告白には答えなかった。まあ、私が「どう思ってるか」とは聞かなかったから、うやむやにしちゃったんだろうと思うんだけど。






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