１０月２４日金曜日曇りのち雨

マナミに「テンコって恋に恋してるみたい」と言われてグサッときました。
確かに私もそう思ってたんですが、人からはっきりそう言われるとやっぱりショックですね。
わかってるんです。
今の私は好きな男の人なんとも思ってない男の人でさえ、二人きりで話をするとかなんかできません。
そういうのに憧れはしますが、実際は行動できません。
潜在的に男の人に対する恐怖心があるからなんです。
これもあの４年と半年前の不幸な出来事のせいだとは思っているんです。
だって、それまでは男の子と二人きりで家に帰ったり、家に男の子を呼んだりしていたもの。
だからこそ、私は恋に恋するしかないんだと思います。
やはり私はもう人に恋することはできないかもしれません。
たった一度の過ちのために…。
放課後、明日の帰りはどうするかを話していて、私と同じ方向の人がいず、そしたらマナミが「あいつに送ってもらえー」と言うから、みんなが誤解しちゃったじゃないの。
確かに前から送ってもらえたらなぁと想像したことは本当なんだけど、実際、本当にそうなりかけると、逃げ腰になってしまいます。
あの人が迷惑すると口では言うけれど、実際は自分が迷惑してるのです。
あの二人きりでいる時間が嫌なのです。だからきっと明日は一人で帰ることになるでしょう。
そして、部室に行く時、かさを忘れたのを思い出し、取りに戻ってまた行こうとしたら、丁度あの人が出て来て、なぜか二人並んで歩いてました。
私はいたたまれなくて、足を速めました。そして、あの人は私のうしろを歩くこととになったのです。
男の人が隣にいるというあの気持ち悪い心持はどうしてもぬぐいさることはできません。
（その点、スギタニ君だけは例外だけど…あの人はハヤトを想い出させるから）
シンゾウ君、ごめんなさい。
そして、今日も一人で帰ってきてしまいました。ごめん、カネドン、チカちゃん。
だけど、今日のシンゾウ君は最高（でもないか）でしたよ。トランペット吹いてるとこ見てたんです。
今の私の願い。自由に二人きりでもすらすら話しのできる人見知りもしない、そんな女の子になりたい。
昔のヤスヒト君と私のように、あの人と振舞えたら。悪口を言いあえる仲になれたら。
だってね、みんな、悪口みたいなもの言ってもすぐに本気にして気にするんだもん。
やっぱり小学校の時から知らないとダメなのかな。それに中学校も同じじゃなきゃ。
そうでもないかな。スギタニ君はたたき合いしたもんね。
あの人ともそんな気の合った仲になりたい。