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Little Eden



5月14日水曜日快晴

今、私は非常に怒っています。今までこんなに怒った日はありません。順を追って話しましょう。
放課後、私はケイコちゃんが花を買いに行くのについて行くため彼女を待っていました。ケイコちゃんとシノブちゃんは化学のガイドを写していたのです。アベちゃんもいました。さあ、そして第1の怒りはその時起こりました。向こうの住宅から○○党の演説が聞こえてきました。すると、シノブちゃんとアベちゃんが「うるさいなあ」「なによ、あんな大きなこと言って」等々、毒舌の限りをつくすのです。
私も大きなことは言えませんが、両親とも○○党支持で、小さい頃から私も○○党支持になろうと決め、今もそれはかわりません。私はもう少しでかんしゃくを起こして怒鳴りはしないかと思うほど、ぶるぶる手が震えていました。だから、3組を出て5組に行ったのです。しばらくそこにいたら気持ちもだいぶやわらいできました。その時、ケイコちゃんがやって来たのです。私は心を割ってとまではいきませんが「私は一応○○支持で、ああいうふうに言われたんで腹が立ってきた」と、弁解などを加えて言いました。彼女は「私は政治のことはわからないからなんとも言えないけど、勉強してる時に言われちゃあ、やっぱりうるさいな」と言います。私は彼女の考えをおかしいと思います。
私は何かに熱中してる時(本とか勉強など)まわりがうるさかろうと、それは耳に入ってきません。というより、無視しているのです。完全に!まして今日のは近くで演説しているわけじゃありません。
スピーカーを使ってはいますけど、耳にキンキンくるようなではなく、遠くから聞こえるだけです。(それでもはっきり何を言っているかはわかります)
だけど、そのことはもういいんです。次なんですよ。
ケイコちゃんが花を買いに終わって外に出た時のこと。
「コクケンさん、気をつけなさいよ」
私は何のことかと思い、痴漢でも出るのかしらと考えたのです。
すると、「みんなコクケンさんのことかげでなに言ってるかわからないよ。だいぶ悪く言われてる。コクケンさんはスギタニが好きだって言ってる」
私はガーンとハンマーで殴られたようなショックを受けました。なぜ?どうしてこうなるの!私はそう叫びたくなったのです。
でも、もっとひどいのはその次の言葉です。「アベちゃんが言っていたのよ」なんということ。必然的にシノブちゃんもその中に入っているのでしょう。ずっと前に私がちょっとスギタニ君に気のあることを彼女に話したら、みごとに彼女は本人にばらしてしまったのですから。「違うわよ。私、好きな人は今いないって言ったでしょう」"ひどいわ"と付け加えたかったけれど、やめました。ケイコちゃんは悪くありませんから。彼女は私と彼女等の間にはさまって苦しんでいるのです。「コクケンさんがそう言われてすごくつらいのよ」と言っていました。
で、再び何か言おうとしましたが、シノブちゃんがアベちゃんと別れてやって来たので、おあずけになりました。
家に向かう途中、私は激怒に身を震わせていました。どうしてこんな目にあわなきゃならないの。
私がなにをしたっていうのよ。私は何も悪いことはしてないわ。そこではたと思い浮かぶ。
さっき3組で、もう少し前、テラスで早弁をしていた人の頭の上に石が落ちてきた事件があったことが話にあがってきて(話の発端はアベちゃんです)その早弁したのがスギタニ君だということなのです。
すると、それを聞いたシノブちゃんとケイコちゃんが、さんざんののしりの言葉を彼にあびせるのです。
(あえてケイコちゃんはひかえ目だったことを言いたいのですが…シノブちゃんよりは)
その時、なぜかわからなかったのですが、彼女、シノブちゃんのその悪態は私にぐさりぐさりとくるのです。
なぜかわからなかったので、私もぎこちないながらスギタニ君の悪口を言ったのです。
今、考えると、あれは私にむけられていたのですね。だから、私の心にぐさりときたんです。
だけど、どうして私は悪く言われなくちゃならないのかしら。
彼を好きになることはそんなにいけないことなのか。ノベータさんのことでアベちゃんは何の悪口も言われないのに。どうして彼の場合は言われるの。私、再び人間不信になってしまいそうだわ。
メッコたちのグループは、けっしてこんな陰口を言うグループじゃないのに。ああ、だからメッコたちにはうちとけることができて、シノブちゃんたちにはうちとけることができないんだ。だけど、ケイコちゃんとつきあうことは必然的にシノブちゃんたちとつきあうことになってしまう。
どうしたらこのイヤな気持ちがなくなるだろう。だげど、少しやわらいだわ。思いっきりシモンにぶつけたからでしょうね。

一ヶ月目にしてとうとうやって来ました。「スターフリートベース京都」またしても決心が勇気がくじけてしまいそう。
こんなに大規模な世界的組織のファンクラブだとは思いませんでした。それこそ、日本をはじめとするアメリカ、西ドイツ、オーストラリア、ブラジル、カナダにたくさんの支部があるそうです。だから案内書も英語で書いてあるところがちらほらと。初めてのファンクラブに、私はどえらいものを選んでしまったようです。
だけど、ためらってはいられません。私は強くなりたいのです。今日は人間というもの友人というものに不信を抱いています。だけど、入会希望の手紙を書いた一ヶ月前はそうじゃなかった。この際、大きな理想を持ちましょう。世界へ羽ばたくのです。秘密にしておこうと思ったけど、メッコの助言が必要になるかもしれまん。

今日も父上とやり合ってしまいました。父上の意見はいつも違ってくるのです。私たちがなにかに対する意見をかわしている時(もっぱらニュースのこと)「そう言うがな…」とはじめて「…と思っとる。それにはな…」というふうに、延々と話が続くのです。私たちの意見はほとんどはいる余地がありません。
確かに父上の言うことも頷けるようなものもありますが、そうじゃない、これは絶対父上のほうが間違っているというようなものもあります。そうして、私との意見の対立が生じるわけです。
私は友人との間では言いたいことがあっても、これを言うと気まずくなると思って言いたいことも言えなくなります。しかし、父上との間ばっかりは黙っていることができません。だけど、神かけてもう今後いっさい自分の思ってることは、そういう場合、口に出さないことに決めました。だって、私とだけならいいのですけど、次に必ずといっていいほど、父上は母上へと議論をかわす対象をかえてしまうからです。母上が可哀想だから。

選挙で行われる街頭演説や選挙カーのことは今ではそんなことをする必要があるのだろうかという気持ちがあります。子供時代は必要ないことをする大人がいるとは思っていなかったので、あれも必要なことなんだろうと子供ながらに思っていたのですけど、今は、不必要なことはあたりまえのことのようにある世の中であることを知っていますから。ただ、彼女らのように悪態つくことは醜いことだよなあという気持ちはあの時も今も変わりありませんね。

それにしても、ケイコちゃん、シノブちゃん、アベちゃんとのこの出来事は記憶にないんですよね。演説で不快な思いをしたことは覚えてるんですけど、その時の会話とか、スギタニ君の事件のこととか、そういった話はまったく覚えていないんですよ。私が悪口を言われてるってことも。日記に書かれていることで、ああそういうこともあったんだなあって。

あの頃の私は、自分が他人に嫌われる事もあるんだっていうことをどうしても信じられなかった。けれど、今の私はそれを信じざるを得ない。そりゃ、私だけじゃない。みんな誰かに嫌われることもある。誰かに嫌われること、それを受け入れる強さを私も持たなくてはならないんですよね。つらいことですけれど。






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