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Little Eden



11月18日木曜日曇りのち雨

言ってしまった!
つ、ついに、Kさんに言ってしまった!
え?なにをかって?
そりゃもちろん、私の好きな人よ。
でも、Kさんは信じてないみたいだったから、ちょっと安心!
わたしの好きな人を知ってるのは、あなたとユミコちゃんだけなのよ。
ユミは知らないの。
だって、ユミも彼のこと好きなんだもの。
カゲカワは、まえにわたしがじょうだんでいったのを本気にして、わたしの好きな人はノブオ君だって信じてるのよ。だんことして変えないんだって!

今日は、社会の時間にみんなが先生にしかられてしまった。
ぼうでたたかれたのがカゲカワだった。
いつもはコツンとしかたたかないのに、今日は、カゲカワが先生の話中にじょうだんを言ったため、すごく先生がおこって、ガツーンと頭をたたかれたのだった。
いたかったでしょうに。
なにせ、わたしは、となりの席なので、もうこわくってこわくって!
カゲカワ、泣いたかな、と思って、あとから顔を見たところ、さすが男のコ!泣いてなかった。
塾のように、みんなもちょっとけじめをつければいいのに。
塾では、先生がなにかおもしろいことをいうと、すごくゲラゲラと笑うけど、すぐピタッととまって、また勉強をしだすのよ。
もうクセができたの。
みんなもそうなればいい組になれるのに。

シモン、おやすみなさい。

その時の様子を書いたものが以下。

 今日の社会の時間、あんまり私たちがうるさいもので、先生がひどく怒った。
「ほんにおまえたちはピーチクピーチクうるさいといったら。ちったあ静かにせんか」
 すると、私の隣にいたカゲカワがなにやら冗談を言った。先生は、落ち着いてやさしそうな声で言った。
「カゲカワ、もう一度言ってみー」
 カゲカワは、おろおろしだした。私たちはジーっとカゲカワを見つめた。
"ガツーン"
 私は一瞬まぶたをパッと閉じた。そして、またゆっくり開いた。先生は怒ったような顔をしていなかったが、どこか感じが違うように思えた。しばらくはこの教室は「嵐の前の静けさ」のようにシーンと静まりかえっていた。
「えー、それで…」
 先生は授業を続けた。いや、終わっていたのかもしれない、授業は。私はカゲカワの顔を見た。ふつう気の弱い男子なら、こういう時、泣くものだが、カゲカワはそんな男子とは違う。ふさぎこんではいたが、泣いてはいなかった。

カゲカワに冗談で言ってたノブオ君のことは、後に本当に好きになってしまうんだけどね。冗談でと言ってるけれど、そこには好意があるから冗談でも言ってしまうわけで。ただ、今思うと、ノブオ君は確かに背が高かくてかっこいいし、しかもお笑いのセンスもあって、私の好みではあったんですけど、どうしてあそこまで好きになったのかがわからないんですよねえ。好きになったきっかけっていうのが思い出せない。日記に書いてたかもしれないし、何度も読み返してるんですけど、ちょっと思い出せないなあ。






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