9月25日土曜日はれ

今日は、スポーツテストがあった。今日のは1000メートルとボールなげ。1000メートルは5分23秒で、ボールなげは一回目11メートル、2回目は14メートルだった。あーあ、コウイチロウのこと、たまらなく好きになっちゃったみたい。休けい時間に「テンコさん、明日バスケの試合、見にこん？」っていうので、いっしゅんドキッとした。あまりにもコウイチロウ、気をつかいすぎてる。私が好きなのは、自分だってこと知ってるからなのかしらないけど。でも、ま、好きなんだから。

　三校時目は体育だ。スポーツテストがあった。1000メートルの時間とボール投げの記録をとった。はじめ、私たち1組の女子は、1000メートルを走った。私はとても心配だった。このまえの運動会の時に800メートルを走ってぶっ倒れたので、今度もそうなりはしないかと思ったからだ。
　スタート地点にたった。号令がかかった。私は軽くスタートした。
（マイペースでいこう。あの時はほかの人のペースにまきこまれたからだわ）
　私はそう自分に言いきかせて、ゆっくり、ゆっくり走った。私は、走る順番が一番最後になってしまった。
（いいんだ、最後になっても。倒れさえしなければ）
　そう思うと、私はなんとなくおちついてきたような気がした。
　スタートしてからだいぶたって、私よりずっと先を走っていたサカモトさんやコヤマさんを私は追い抜いた。私の心はさかんに踊りだした。
（抜けたんだ！これで最後にならなくてすむ。マイペースで走ってきてよかった）
　それでも、あと100メートルというときに、サカモトさんがどんどん追いついてきて、あと1メートルと差が縮んでしまったのである。私は、今から本気出して走っては早すぎるとは思ったが、追い抜かれたくなかったので全速力で走った。でもやはり早かったとみえて、あと50メートルというところで息切れがしてきた。
　あと40メートル、あと30メートル、あと20メートル、あと10メートル、そして、あと1メートルというところで倒れかけたが、残りの力をふりしぼって一気にゴールインした。
　時間5分22秒。
　シノダさんたちに比べたら、それこそ「カメと新幹線」だが、私にとっては勝利のタイムといっていいだろう。
　このあとボール投げをやったが、あまりいい成績ではなかった。