でも私はみんなの前で歌うことが好きだった。注目されるのは嫌いじゃない。私はよく体調を崩す子供だったけれど、そのたびにみんなの注目を浴びながら保健室に行ったものだったし。悪い気はしなかった。だから高校であの発作が起こるまでは、大勢の前に立って緊張するストレスさえも嫌だと思ったことはなかった。だからいろいろやろうと思いもしたわけで。それがいつの頃からか、緊張するとすぐ吐きそうになって、その不快感が嫌で嫌でしかたなくて、ストレスから逃げるようになっていった。すべてはあの発作から。それが起きるのはまだ先の話。中学時代は自分の思うがままにふるまった時代だった。 | ||