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Little Eden



5月24日月曜日

今日、カタオカさんに社会のノートを見せるんじゃなかった。カタオカさんに近付かなければこんなことにはならなかっただろうに。
そのために、数学、英語と、はんいがひろがってゆき、とくに数学の質問がぜんぜん意味がわからない。
若葉の先生にもきいてきてというふうになるしまつだ。
今度の場合は前のヤマネさんとはちがって、「心」じゃなくて「勉強」。あの人の頭の中は、もう勉強のことしかはいってないらしいわ。明日になったらまたわからない質問をだすにちがいない。とてもゆううつだ。なにせ、明日は小学校のときのしんだんテストがあるからだ。
もうこれから夜もねていられないかもしれない。く〜〜!

彼女に「そうか。わかった」とは決して言わせることができなかったのです。「どうしてそうなるの?」という彼女の質問に「こうなるよ」と答えても、彼女は納得しないのです。今思うと、私ではなくそういった質問は先生にするべきじゃないかと思うんですが、当時の私はきっぱりと断るということのできない(今でもできないんですけど)人間で、さらに他人に悪く見られたくないためにできないことはできないと突き放すことのできない八方美人でもあったのですから。
彼女は後に地元でも頭のいい人しか入れない学校に進学しました。どんな職業についたのか知りませんが、今頃どうしてるかなあ。

それにしても、当時の私の心境はよく覚えてます。私が答えられない質問は、塾の先生にまで聞いてきてくれと言われ、どうして私がそんなことまで塾の先生に聞かなくちゃならないのかと嫌な気分になったものでした。その夜も悶々として眠れなかったし。困難を目の前にして神経がまいってしまったあの精神状態は、今でも胃のあたりがキューッとして苦しくなりそうです。(苦笑)

[追記]

こんな文章を当時書いていたので追記しておきます。(笑)

「ねーえ、テンコさん。社会のノートとった?」
 掃除の時間の時だった。あまり口をきいたことのなかったカタオカさんが私に話しかけてきたのだ。
「え?ええ、ノートとってるけど」
「わあ、よかった。うつさせてちょうだい」
「いいわよ」
 私は、彼女に社会のノートを差し出した。
「ありがとう」
 彼女は、せっせとそれをうつして、私に質問してきた。(ユミもいっしょに質問された)
「あたし、氷河時代のこと、あまり知らないの。いつごろからはじまったのか教えてくれない?」
 私とユミは、彼女の質問に答えるのに苦労した。説明しても説明してもわかってくれないのだ。
「ふーん。そうか。そうなるのか」
と、いう言葉をどうしても彼女にいわせられないのだ。そのために部活にも出られなかった。
「じゃあ、その塾の先生にこの質問を聞いてきてね」(数学の問題)
「ええ。わかったわ」
 ところが、私には彼女の出した質問の意味がさっぱりわからなかった。帰りにぶつぶつその質問の意味をおぼえようとしていた。
「テンコがめずらしく勉強しているぞ」
「アホと違うか?」
 クソ。腹の立つ男どもだ。それと同時に、カタオカさんをにくんだ。そして、私自身もにくんだ。
 あの時、あの時、彼女に近づいてさえいなかったら……。
 また明日も彼女の質問ぜめに出くわすだろう。そう思うと、その夜はねむれなかった。

当時の日記をもとにショートストーリー風に書いたものです。こんな感じのショートストーリーを中学1年間に何篇か書きました。






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