あの風景画、結局買うことはなかったな。当時の15000円なんて、なかなか貯金してもたまるもんじゃなかったし、他のほしいもの、本とかそういうものを我慢してお金をためるっていうことは私にはできないことだった。 あの頃の私だったら、ほしいと思ったら、駄々をこねて母親に買ってもらったことが想像できるんだけど、どうだったかな、その絵がほしいと駄々をこねたのかな、ちょっと思い出せない。ただ、駄々をこねると大抵母は買ってくれたものだった。でも、今思うと、無理してでも買ってくれたものって、睡眠学習機や録音機やスポーツ用品や楽器といった類のもので、将来、子供の為になるようなものばかりだった気がする。なるほどなあ。ちゃんとそういうことは考えて買ってくれていたんだ。とはいえ、それら買ってくれたものたちは、まったく私の将来の為になったものは一つもなかった。本当に私ってごく潰しだったよなあ。 | ||