2013年02月26日(火)22:48 くもり、のち雨 ----------------------------------- 中貫えりさんの「最強の天使ニシテ最愛の悪魔」全9巻を読み終わった。これ、最初に麦ちゃんが頭打って小学生以降の記憶を失って、そのせいで輝ちゃんと恋人同士だったことや婚約したことまでも忘れて、輝ちゃん大ショーックとなったのも束の間、輝ちゃんはベリアルとの戦いに赴く時、自分のアキレス腱ともなりうる麦ちゃんの存在を悪魔の目から隠すために自分の記憶から麦ちゃんの存在を消し去るんだけど、麦ちゃんの性格を考えれば、麦ちゃん自身の記憶を消さない限りは、輝ちゃん何の為にあんたは麦ちゃんの記憶を失ったのよ、と、単純な私は思ってしまったわけで。(笑)いやまあ、恋する男はいつでもバカなもんでさ。自分の命はどうなってもかまわない、でも、愛する女の死は乗り越えられない、だから、離れる、別れる……女からすれば「輝ちゃんのぶわぁかーーーーー!」となるわけで。でもね、その後、麦ちゃんは輝ちゃんの計らいでロンドンの魔術学院、いわゆるエクソシスト養成学校に入学した時、長年の友人である魔女ララに「すぐ騙される、知識も対抗策もない、そんな麦子を信じろという方が無理な話です」と言い切られる。それを見て、ああ、そうだよなあ、確かに麦ちゃんは霊力は輝ちゃん以上でものすごく強いことは強いんだけど、元来の性格が優しくて、狡猾な悪魔に手玉に取られて騙されて、いくら霊力が強いとはいえ、高位の悪魔にかなうはずがないわけで、そりゃ、輝ちゃんも「こいつなら一緒に戦ってくれる」とはならないだろうな、と。強いだけじゃ悪魔との戦いはやっていけないわけだものねえ。なるほど、輝ちゃんが勝手に自分の記憶を消してしまうことを責めることは誰にもできないよなあ、と。 やっぱすごいや、中貫さん。(笑) 一人の作家が紡ぎ出す物語って、けっこう読む側の人間に影響を及ぼすことはよくあることで、とくに私なんかも昔からそういった傾向はあり、そのおかげもあって、今まで読んできた物語に救われてきたものだ。で、私も陥りがちになるんだけど、たとえば、こういったものを書く人だから、きっとこの人は私のことをわかってくれると思い込んでしまうこともある。今抱えている自分の悩みや問題が物語に書かれていたりして、なんでこの人は私の悩みを知ってるんだろうとか、そんなことあるわけないのに、なんか自分のこと書いてくれたように思えてきたりして……だから、この人に私のことを話せば、私のことをわかってくれる、「大丈夫だよ」と言ってくれる、そんなふうに思ってしまって、伝えようとしてしまう、そんな過ちを私もしてきたものだった。 私が何を言わんとしているか、つまり、この「最強最愛」でも似たようなことがあったということ。ただ、今までと違うのは、きっとこの人は私のことをわかってくれる、という気持ちを持たなかったということかな。たとえば、この「最強最愛」では、正義に関してのおもしろい記述があって、まあ、それ自体は珍しい考えではないんだろうけど、私にとっては目からウロコ的なことだった。それは、麦ちゃんが悪魔ベリアルに向って言った言葉。ただ、その前にベリアルの言葉も引用しないとなあ。
そう言って麦ちゃんは一切の魔力を無効にして、ゲンコツ一発ベリアルに食らわせるわけ。ケンカは自分のゲンコツを使うのが彼女の正義でもあるということで。あと、正義は頑固なラーメン屋みたいなもんで「まずくたって喰らえ」ということらしいけど、まあ、その正義はどうかとは思うんだけど、つまり彼女は自分の信念を貫くことが正義なんだと言いたいんだろうな。(笑) そうなんだよなあ。私もおいしく食べて楽しく生きるということをしたい人で、ただ、それを麦ちゃんのように「正義」とは捉えられなかった。楽しく生きる、これは快楽でしょ、と。快楽ってやっぱね、後ろめたいんだよね。他人に非難されそうな気がするわけ。だから、これが正義なんだーと言いきれる麦ちゃんの強さは羨ましいわけで。つまりは、そう言い切る人がいるということで、自分は救われると思うわけ。でまあ、そんなことを書いちゃう作者も、もしかしたら同じ考えなのかなあと、昔の私なら思っちゃうんだけど、さすがに今はそうは思わない。もしかしたら、これはただのキャラ設定で出てきたセリフなのであって、作者の考えではない場合もあるよなあ、と。でも、不思議なんだよね。それでも、こういったセリフを見ると、それが虚構だとしても、なんでか救われる。そうだよな。私も自信持てばいいじゃんって。これが私の正義なんだって。 もうひとつ、麦ちゃんの記憶がなくなったことで、何か理由があって自分は麦ちゃんの記憶を消したんだから、麦ちゃんにも自分のこと忘れろと言うのだけど、麦ちゃんが輝ちゃんにこう言った。
好かれないからって好きな気持ちが消えるわけない、かー。そうなんだよなあ。麦ちゃんならそう言うんだよね。自分の正義を相手が望まなくても押しつけ、自分のために相手を助けるって言う彼女だからこそ自信持って言える言葉なんだよなあ。まあ、相手にしてみちゃ、冗談じゃない、なんだろうけど。麦ちゃんと輝ちゃんの場合は、そりゃ相思相愛で、またそういった束縛も双方にしてみりゃ「愛だよなー」ですまされるんだけど。どっちかがどっちかを大嫌いでどうしても好きになれなかったら、ただのストーカーだもんなあ。難しいよな。あ、ストーカーで思い出したけど。輝ちゃんは麦ちゃんに5億もするルビーの婚約指輪をあげてるんだけど、それって実は保険だということらしい。つまり、もし麦ちゃんが輝ちゃん以外に好きな人ができてしまった場合、自分から全力で相手の男と逃げる為の資金にしろ、ということで。輝ちゃん、そんなことになったら絶対に相手の男を殺すっていうことらしいから。だけど、自分がそんなことをしたら、麦ちゃんは傷つくことは目に見えてるわけで。だけど、殺したい、でも麦ちゃんは傷つけたくない……ならば、全力で自分から逃げてくれという気持ちから、なんだそうだ。それもまたストーカーだよなあ。でもまあ、それを聞いた麦ちゃんはやっぱり嬉しいわけで。それりゃそうだ。それくらい好きな人に好かれてるとわかりゃねえ、私だって、嬉しいもん、そういうの。もちろん、自分が愛してる人から、ならば、だけどね。 さて、それでなんで次の引用が出てくるかというと、↑のようなことを思い出したわけよ。↓の引用を読んで。それは読んだ人が考えてくれたらいいなあと思う。(出たっ、丸投げっ)
まあ、ちょっと言ってみれば、「自分らしく」に到達する為に私も他人の書いた物語が必要ってこと、かな。あと、正義について、いろいろな考えがある中、私は「最強最愛」が同じだったってこと、でも、他の人の正義もあるんだろうから、それこそ「おや、あなたはそんな感じですか。私はこんな感じですよ。じゃあそれぞれやっていきますかね」ですよね。うーん…こうやって引用してみると、なんかほんと無理やりって感じだよなあ。ただ、私はやっぱ↑の引用部分を読んで、今回の記事を書いたとも言えるんで、私の備忘録として残しておきたい。リンク先の人は一度ご自分の記事を全削除したことがあるから、心に響いたこの引用部分もいつかはなくなってしまうかもしれないわけで。だとしたら、こういった形で残しておきたい。また読み返す為にも。ということで、何卒、ご容赦を。(苦笑) | ||