2012年12月25日(火)10:23



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2012年12月25日 10:18

清水玲子さんのジャックとエレナの話はけっこう好きだった。考えたらロボットとはいえこの二人だとついBL話として見てしまいがちなんだけど、私は生粋の腐女子ではなく、やはり男の子と女の子の恋愛話が好きなんで、いくらエレナが女と見まごうほど美しく無性で女でも男でもないとはいえ、やっぱ男にしか見えないんで、どうしてもジャックにはルイスちゃんといい関係でいてほしかったなあと思ってしまうのであります。(笑)

と、前ふりはここまでで。(笑)

「竜の眠る星」の最終巻のラストで、こんな記述がある。

『もともと人間は100年以上生きられないんだ。もしたとえそれ以上生きられたとしてももう何も得るものはない。人間はもうその重みに耐えられなくなる。過去の重みをひきずってもう前へ歩けなくなる。人と別れることに。人を愛することに。人を裏切ることに。100年も生きるともうすっかり疲れ果ててしまう。でもおまえは生きていかなくてはいけないんだ。モニークのことを忘れても。セレツネワのことを忘れても生きていくんだ』

エレナは高性能万能ロボットであるがために死なない。星に隕石が落ちて生物が絶滅してしまい、猛毒ガスが充満した惑星の上でも生き続けることができる。そんなロボットであっても、人と同じく感情はあり、精神が崩壊してしまいそうなダメージを受けてしまうこともある。でも、人間であったら、それが原因で気が狂ってしまえたり、死に至ったりして逃げることもできるけど、ロボットであるエレナは死ねない。壊れてしまえば物理的な死は手にいれることはできるだろうけど、人間と同じく感情は当たり前に持ってるわけだから、人と同じように自ら死にたいとは思わないだろう。というか、人間がなぜロボットを作ったかという意味を知れば、生き続けるように仕向けられているわけだ。つまり、人間の「生き続けたい」という欲求のもと作られたロボットであるから、やはり生き続けなければならないわけで。だから、エレナはその生き続けるということのために、防衛策として、「忘れる」機能が備わっているわけだ。

人間にとって忘れられてしまうことこそ恐ろしいことはない。まあ、人間にとって…とは書いたけど、忘れられたいと思っている人だっているだろうから、私に限り、誰かに忘れられることは死に等しいと思ってたりする。だから、エレナを好きだったモニークがエレナに忘れ去られることは辛いことだろうと思う。もっとも、そう感じるまでもなくモニークは死んでしまうわけだけど。死んでしまったら、忘れられることもつらいとは思わないだろうけどね。

それにしても、たとえば私がエレナのように若く美しく超能力まで持った上に永遠に生き続けることができるとしたら、今の自分としては願ったり叶ったりだろうなあと思う。確かに、エレナの壮絶な生き様を見てると果たして永遠に生きることがいいことなのかどうかは疑問ではあるし、ジャックが言ったように永遠に生き続ける上で積み重なっていく記憶や過去が耐えられなくなるいつかが来てしまうことも本当だろう。だからこそ、もういいやって思えた時にちゃんと死ぬことができる永遠の命が「究極の永遠の命」なんじゃないかなあ。そういうのもあっていいんじゃないかと。もちろん、超ワガママな願いであることは承知の上で、だけど。

ま、そんなこと考えるだけで、実際には宝くじに当たる事よりも無理な願いであるんだけどね。
ただ、考えるだけ、願うだけはタダってことで。( ̄▽ ̄)

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