2004.12.27 21:51(月) 曇り時々雨


すっかり寒くなりました。
やっと冬らしくなってきたというところなんですが、私にゃつらいっすよ。
寒くなるとあちこち痛くなるし、特に今日は腹は痛いわ、腰は痛いわで、ほんまにつらいっす〜。

息子のことでご心配をかけてしまったようで、掲示板や才人メッセ、それからメエルなどいただき、ありがとうございました。
その中でも「しょうから」に反応してくださった方がいました。
そっかー「しょうから」って鳥取の方言だったんですね。わーい、ガクトさんに教えてあげようかなー。方言大好きなガクトさんだから、もしかしたら「しょうから、しょうから」って喋ってくれるかも〜。(^^;
ということで、「しょうから」の意味、わかりました?
ジャイアンって書いたから何となくわかったと思いますけど、「わんぱく」ってことですからね。こっちでは「しょうから坊主」って言うんですよ。

今日は久しぶりに新聞ネタをひとつ。

英国作家のリチャード・ビアードの「永遠の一日」という小説が紹介されていたのですが、何でも米国の書評では「量子力学的小説」と言われているようですが、なんだかよくわかんないなー。
紹介されているあらすじによると

「二人の男女が英国のどこかで誕生した。同じ日の同じ時間に、さまざまな年齢の二人は別の場所で別の時間を生き、そうでいながらも偶然出会い、恋をする。半日の中に、人生のすべてが多元宇宙的に存在する不思議な話」

と書かれてあったんですが、ちーともわかりませえん。(爆)
ビアードさん本人は難解ではないと言ってまして「ラブストーリーで、ユーモアもある」ということです。ま、読んでみないことにはこの作品については何とも言えないでしょう。

ここで話題にしたいのはビアードが言ったこの言葉です。

『小説家は言葉が本物になることを目指す』

『小説家というのは不思議なルールをつくって、それに従って書くのではないでしょうか』

私には何となくこれらのことが得心がいくんですよね。
言葉が本物になるのを目指すのは当たり前だと思っているし、不思議なルールは私も持っている。
私の場合は自分の書く小説のほとんどは、どこかでリンクしているんですよ。そして、ある言葉をキーワードとして各小説に散りばめているんです。
だから、私の小説の全てを読んだ人は、どの言葉がキーワードかがわかるはずなんです。
過去、パスワードの部屋を作ったときも、そのキーワードを打ち込むようにしたんですけれど、わかった人は一人だけだったんじゃないかな。まあ、私の小説のディープなファンなんてそうそういるもんじゃないし。

まあ、私だけじゃなく、けっこう自分の作品をリンクさせて書いてる人もいるみたいなので、私だけのオリジナルってわけじやないけれど、そういうのが好きな人はけっこういると思うんですけどね。私自身もそういうリンクした話って好きだし。
別の小説に出てたキャラがこっちの小説に出てきたりなんかしたら、思わず「うほほ」となったりしますから。

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スター・レッド──数千年の孤独を埋める愛が欲しかった男──

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星(セイ)は赤い目と白い髪を持つ火星人の生き残り。
昔、火星を植民地化しようとしたのだが子供が育たないので、流刑地として多くの罪人を送りこんでいたのだ。それもいつしか打ち捨てられ、地球人はもっと遠くの星へと出て行き、火星のことなど忘れられていった。
しかし、いつのまにか人間は火星に順応し、彼ら火星人たちは超能力を身につけひっそりと暮らしていたのだ。そこへ地球人が再び殖民を開始し、唯一子供が育つ聖地を巡って戦いが起こる。
星は幼い頃、火星人と地球人との戦いに巻きこまれ孤児となり、地球人に拾われ、地球人として髪を染めカラーコンタクトをして暮らしていた。だが、火星に仲間がいると信じ、いつか母星に帰りたいと願っていた。

そこへエルグという不思議な青年がやってくる。

星はたった一人の五代目の火星人で、かなりの能力を持っていたにも関わらず、彼の心が読めなかった。
実はエルグは、この銀河をよりよく導く種族の斥候で、何もかもが謎に包まれているアミという生命体から銀河を守っているという。そして、アミは赤色螢星に巣くい、その星の住民に多大な影響を与えるという。それが尋常ならざる超能力というわけである。

赤色螢星は壊さなければならぬ───

そして、結局火星は、ふたつの月を道連れに破壊されてしまうのだ。
星とエルグはアミの秘密を知るために、アミという生命体を一番最初に捕らえようとして逆に滅ぼされてしまった封鎖された古代の星へと行ってみるのだが、そうさせまいとする追っ手に星は肉体を消滅させられ、エルグは永久に惑星に封じ込められてしまう。
彼も赤色螢星の生まれで、破壊された星のたった一人の生き残りだった。六千年もの長きに渡って星々を渡り歩き、斥候として活躍していた。

そして、やっと星という愛する者に出会った。

それなのに彼女は死んでしまった。彼の嘆きはとても痛々しく、精神体となった星には正視に耐えられないものだった。だが、火星人の仲間であるヨダカに導かれ、エルグの真に自分を愛する心に触れ、いつか彼の眠るこの呪われた星へ辿りつくことを願い、ヨダカの中に入りこみ、再び人間としてこの世に生まれてくるのであった。

以上、物語の簡単なあらすじです。

この物語で考えさせられることといったら、「偏見」というものへの考え方ですね。

火星人は、もともと地球人だった者が変異していったわけで、本来なら同族なのに地球人と戦うわけです。
もちろん、それは一箇所だけでしか子供が育たないから、その土地を巡ってということもひとつの原因ではあるんだけど、三世代目で完全に変異をするということ自体があまりに脅威的で、地球人は火星人を恐れたのが何よりの原因ではないかと思います。
赤色螢星に限らず、宇宙には超能力者はいる、そして地球にもアン・ジュという女性他何人もの超能力者がいる。だけども、力は赤色螢星の人種の比ではなく、微量なもの。それでも彼らは一般人に迫害される。

その象徴的な人物が情報局のペーブマン。

エスパーは例外無くモンスター、怪物であると言いきる彼は、もちろん自分の身体に傷をつけた怨恨もあるのですが、人間とは己よりも優れている種に対しては恐れと嫌悪を感じるものなのです。
ペーブマンがアン・ジュに「超能力は退化である」と説明するくだりは、思わずなるほどと思ってしまうところがありました。
超感覚でとらえるのなら目など必要無い、念動力があるなら手もいらない、テレポートできるなら足だっていらない、テレパシーがあるんだから声帯も、言葉だって必要ないとしたら、もしかしたらそのうちに鼻も口も耳もいらなくなる、そうなるとただ石ころのように転がって、考えているだけでいい、それを退化というのではないかと言うんですね。

この現実の世に、本当に超能力が実在するのかはわからないけれど、もしあったとしてもこの星のような完璧なエスパーというわけじゃないでしょう。とすると、まだ手も足もなければならないはずです。
もし仮に、いつの日か本当に完璧なエスパーが誕生し、それがどんどん生まれてくるような進化の時代が来るかもしれないとしても、それを退化であるか進化であるかを決めるのは私たち人間じゃないと思います。少なくとも、未来の人間が決めることであって、今の私たちには決め付けることはできないんじゃないかな。
ましてや、宇宙をよりよく保つためだといいつつ、赤色螢星を破壊し続ける高等種族は神気取りだけど、アミによって巣くわれ滅びるかどうかは当の種族に任せて自分たちは手出しするべきではないのではないでしょうか。それが、自分たちの領域まで侵犯するようになれば、その時に初めて全力で戦うべきではないのか───と、そう真剣に考えてしまいました。

古の呪われた惑星にたった一人封印され、愛する人を探し求め、何もない大地をさ迷う死なない男エルグ───数千年の孤独を星を愛することでうめたかった彼、愛していると何度も何度も言いつつ、恐れていた狂気へと身をゆだねて行く彼───そのくだりは、本当に涙なしでは見れないところです。

すばらしい、の一言につきます。

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