2004/4/15(木)晴れ


昨夜、TVつけっぱなしで「孤島の鬼」を読んでいた。
すると突然電話が鳴った。出たら前自治会長の奥さんで「○○さんが亡くなったでしょ」と。最初、フルネームを言われて「誰それ?」と思った私。(^^;
「そちらの棟の…」という言葉に、やっとのことで下の○○さんであることがわかった。
え?だってこの間入学式の日に出会ったよ?
9日、息子と一緒に歩いて帰ってき、棟の階段のところで出会った。
「もうそんなになったんだね〜」とニコニコしながらそう言ってくれてた。あれが最後だった。
でもまあ、感慨にふけっている場合じゃない。今年はうちが班長。それもあってSさんは電話してきたわけだから。
「通夜の時間とか出棺の時間とか、あと葬儀の場所を確認して、あとでうちに電話ください」とSさんに言われ、慌てて下に走った。
普段ならこういうこと絶対いやだし、やりたくない人だけど、そこは「いい子ちゃん」の私だからね。

行ってみたら、ご家族の方々が忙しくしていらした。用件を伝えるとメモにしてくださった。それを電話でSさんに伝えると「棟の人たちにそれを知らせなさいね」と言われ、今度は一軒一軒それを伝えに歩く。幸いみなさん自宅にいらした。(まあ、時間が時間だしねえ)
明日の通夜は夜8時から、それには皆さんとそろって行くのはいいとして、問題は───あさっての葬儀だ。11時から出棺で、それはちゃんと見送らなくちゃね〜と同じ階のYさんに言われ「うんうん」と頷く私。ただ、2時からの葬儀は……やはり行かなくちゃならないんだろうなあと。去年、ちょうどこの時期に今回亡くなったおばあさんの旦那さんが亡くなって、あの時は通夜の時も仕事から帰ってきた旦那がついててくれて私も心強かった。葬儀も旦那が行ってくれた。
あの時はどんなだったっけ?私は行かなかったのでわからないけれど。電話で「これこれこういうことが」とババさまに言ったら「受付とかそういうのせんといかんでしょ」と言われ、えーわかんない、と思った私。

も〜わからないことだらけで……泣きたくなった。

旦那、葬儀出てくれないかなと思ったんだけど「無理だよ、休めないよ」と言われ、それからもう脱力してしまい、何も考えられない、何も手につかない状態になってしまった。

神さまは、私に試練を与えてるのか───と思わず思ってしまった。(^^;

旦那は「なるようになる」なんて言ったけど、それって違うと思う。
なるようになる───ではなく、なるようにしなくちゃ───だと思うんだよね。
わからなけれぱ聞く、できないことがあれば頼む───そういうことをすれば気持ちも楽になるんだけど、それらは私にとってなかなかにできないことで。結局全部自分でやろうとして潰れちゃうんだよね。
経験積んで覚えていくものだっていうことは、私にだってわかってる。だから体当たりでぶつかればいいんだってことも。

もっとも、ガクトさんなら、あるいは中島さんなら「変わるチャンスだ」なんて言うんだろうなあああ。

なんか、そういうことを容易に想像できちゃうから、悔しい気もしたりして。(爆)

けれど、どちらにせよ、時間は過ぎていくし、私は班長なんだからその時がきたら動くしかないわけで。。。

負けそうだけど───けれどたぶん私は動くんだろうな。
「いい子」の「私」だもの。
こんな精神状態じゃ、執筆はできないや。

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そういうことで、少しでも精神的に楽になろうと行動することにしました。

ちょうど母から電話があり「ちょっと出てこんか」と言われたので昼から実家に行くことに。
で、母に聞いた。「○○葬儀会館ってどこにある?」と。
だいたいの場所は把握してるつもりだったけど、どうも違ってたみたい。父ちゃんが言ってた「昔、魚連の建物があったとこだがな」で、あ〜そっか、花火見るときに邪魔だな〜と思った建物か、と思ったけど、実際あとで行ってみたら、位置的にはそうだったけど、違うじゃん。あたしゃ岸壁のほうだと思ったのに。道路隔てた反対側だったよ。(^_^;)
まあ、でも、これで金曜日の葬儀にはここにくればいいんだなとちょっとだけ安心。
実家では母や父ちゃんに言われた。「まあ、そげん深刻に考えることないがな」って。
やーそれは私だってわかってるわよ。ただ、そういう性格なんだからしかたないじゃん。
まあ、もっとも絶対変わりたいと思えば変われるんだろうから、やっぱ私はこんな自分でいいや〜と無意識に思ってるのかもしれないしね。
でもさ、変われるものならほんと変わりたいよ?
だからさ、無意識でそういう「変わりたくない」と思ってたら、どうーしよーもないと思うんだけど?
それこそ、催眠術とかかけてもらいたい気がするよねえ───ってか、話がズレてきたぞ。(爆)

夜はだんだん時間が近づいてくるにつれて胃が痛くなってきた。(^_^;)

7時45分くらいに外に出たんだけど下の広場に104の人が出てきてて、次々みんな出てきた。で、前夜に204のYさんが101のFさんとこで言ってた香典の話をしたんだけど、結局、別々にしようよ〜ということになり、その話はそれでおしまい。
それからゾロゾロとみんなでAさんとこに。
ぞろりとみんなで座って、しばらくしたらお坊さんがきてお経を唱えて、ちょっと説法して。そういうの去年と同じだったな、あたりまえだけど。
で、私は去年の班長だった隣のSさん(旦那さんが来てた)に「去年の葬儀では何かしました?」と聞いたんだけど、結局「別に何も。行っただけだった」と聞いてちょっとだけ安心。まあ、別にしてよと言われればしますけれどねえ。とにかく、身体ひとつで行けばいいんだなと。そんなわけで、今日は無事なんとか終わりました。

つーか、Aさんのお顔拝見しました。思わず泣いちゃいました。(;_;)

なんだかんだいってもね、初めてここにきたときに、とっても親切にしてくれた人だもん。いろいろ気を遣って話し掛けてくれたりしたし。
旦那さんが去年亡くなってから、めっきり元気なくしてしまって……うちの旦那さん曰く「あと追ってしまったんだろうなあ」って。
うん、なんかそう思えて仕方なかったよ、私もね。旦那のお父さん、ジジさまもだったけど、内にこもってしまう人はこんなふうになってしまうかもしれないね。ババさまなんて、外に出るのが好きな人だから、まるで後追うように───なんて絶対ないと思うし。
私も内にこもる人だけど、どうかなあ、私の場合はやりたいことがあれば何とか生きてると思う。
やりたいことがなくなった場合が危ないかな、たぶん。

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孤島の鬼/13:25:15

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孤島の鬼を読了しました。

この小説が昭和4年から5年に書かれていたものだとは驚きました。
旦那曰く「乱歩は異端児だ」ということですが、意味がよくわかりましたね。

当時の男女間の純粋な恋愛が描かれていると同時に、同性愛についても描かれているというのがすごいなと思いました。
主人公に対する友人道雄の倒錯した偏愛は、惹きつけられて目が離せませんでした。


何処までも続く闇の世界である右も左も分からぬ洞窟の中を
愛する者と何時果てるともなく歩き続ける───
道雄はあの時が一番幸せだったのかもしれない。
後に本当の親のもとで病で亡くなる瞬間、


「最後の息を引き取るまぎわまで、父の名も、母の名も呼ばず、ただあなた様のお手紙を抱きしめ、あなた様のお名前のみ呼び続け申候」


その彼を主人公は最後の最後まで憐れとは感じたが、健全な者の常で友として好意を抱きこそすれ、そのような目で見る友を厭うていたわけだ。

私は、この物語の中でもっとも近しい魂をこの道雄に感じた。


決して届かぬ想い。
決して手にすることはできぬ存在。
それを死するまで抱き続けた道雄に。


独白型、告白型小説であるこの物語は私の好みに合っていた。
こんな小説を書きたいと私も思った。


儚く美しく、倒錯していて醜悪で美麗、異端とも言うべき世界。

ゴシックレベル腹黒天慈さんの好みにぴったりですな。(笑)


「孤島の鬼(1987年版)」を薦めてくれた友人に感謝する。
あとがきで栗本さんのエッセイも読めて満足満足。
とはいえ、大した感想も書けずに申し訳ない。
というか、こんな感想文でよかったですか?(笑)
とりあえずお約束していた感想文です。
キッチリ読んでくださいね。


蛇足ながら。

惹かれた言葉


孤島の鬼より

『刹那的一夫一婦主義』

ようするに、独身主義ということですな。(爆)


『恋こそ奇妙なものである。
  それは時には人を喜びの頂点に持ち上げ、
  時には悲しみのどん底につきおとし、
  また時には、人に比類なき弾力を授けさえするのだ』


ふむ、当たり前といえば当たり前。(笑)

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